猫は単独で獲物を捕まえ、自分の身は自分で守る生活をしてきました。そのためか警戒心が強く神経質、周囲の変化にも敏感でストレスを感じやすい生き物と言われています。
では、どんな事にストレスを感じるのか?
ストレスになる原因や病気のリスク、ストレス解消法などまとめてみました。
※記事の内容はベネッセが発行する猫雑誌「ねこのきもち」を主に参考にしています。
目次
猫にとってストレスになる事とは?
掃除機
お家の中の敵と言えば「掃除機」。大きな音を出しながら動く物体は恐怖でしかなく、威嚇したり攻撃(パンチ)する猫も少なくありません。猫は人より3倍も音域を聞き取ることができあらゆる周波数をキャッチするため、大きい音を出す掃除機にストレスを感じやすいと言われています。
対策方法
掃除する時は猫を別の部屋に移す、掃除機の威力を下げて音を小さくする。消音の掃除機を買う。猫の近くでは掃除しないなどで対策しましょう。
動物病院
病院に連れて行く途中の車や聞き慣れない音、見慣れない風景、診察(知らない人との接触)にストレスを感じる猫は多いです。だからと言って病院に全く連れて行かないのは無理なので、猫ちゃんがリラックスできる方法を探してみてください。
対策方法
往診してくれる獣医さんを探すか、おやつを与えて気を紛らわしながら病院へ連れて行くといいでしょう。連れ出す際は外が見えないようキャリーケースをタオルか何かで覆ってしまえば、外敵から身を守れるという安心感につながるそうです。
爪切り
拘束されて自由に動けない不安、爪を切られる時の振動(不快感)、過去に神経を切られたことがあればその時の痛みを思い出すなど、爪切りにストレスを感じる猫は多いです。
対策方法
上手に爪を切って時間を短縮させましょう。猫は後ろに逃げようとするので拘束する際は猫の後ろから包み込むようにする。切れ味の良い爪切りを買って振動を抑える。気を紛らわせるため、1人がおやつを食べさせている間に切るのもオススメです。最近だと爪研ぎしながら爪が削れるボートなんてのも販売されています。
スパっと切れて振動が少ないおすすめの爪切り↓
爪とぎするだけで爪が削れるbibiニャンボード↓
シャンプー
猫は雨量の少ないサバンナ地域で生息していた名残から、体が濡れることに慣れていません。シャンプーで泣き叫ぶほど嫌がるなら、大きなストレスを与えている可能性があります。
対策方法
シャンプーが嫌いなら濡れタオルで体を拭いてあげるだけでも大丈夫です。猫は自分で体を舐めてキレイにしますし、強い胃酸のおかげで少し汚れた物を舐めてもお腹を壊す心配は少ないです。
トイレが気に入らない
トイレにこだわりを持つ猫は多く、砂の種類や汚い環境だとストレスを与えてしまうかもしれません。特にシステムトイレを使っているなら要注意!花王が行った実験やネットの声・我が家の猫を見てもシステムトイレを嫌がる猫は多いです。トイレが気に入らないと布団に粗相したり、便秘や尿路系の病気リスクも上がると言われています。
対策方法
システムトイレを使っているなら、一度猫砂トイレを置いてみましょう。我が家もシステムトイレだったのですが、その横に猫砂トイレを置いたらそれ以降システムトイレは1度も使いません。コスパもそんなに変わらないし、個人的には手間も大差ないと思っています。
来客
知らない人の来客は、身の危険や縄張りを荒らされると感じてしまうそうです。初めて聞く声やニオイ、存在自体を恐怖に感じてストレスを与える可能性があります。
対策方法
来客時だけ猫を別の部屋に移したり、極力猫に関わらないようにしてもらいましょう(声をかけない、触らないなど)。猫ちゃん自身が危険でないと感じれば自分から寄ってくるはずです。
新しい猫を迎える
子猫や若い猫どうしなら仲良くなることが多いですが、高齢猫だと全く受け入れないこともあります。特に子猫は何でも興味を持ち、先住猫にも構わず近寄ったり追いかけまわしたりするため、大きなストレスを与えてしまいます。
対策方法
新しい猫が来たらケージに入れて先住猫と徐々に慣れさせましょう。あとは寝床のタオルを交換して、臭いに慣れさせたりしながら様子を見ます。できればトライアル期間があると安心です。
キャリーケース
動物病院など嫌なこととリンクしてキャリーケースを怖がる猫も少なくありません。使用頻度は少ないですが病院に行くときに必ず必要となるので、怖くないものだと覚えさせた方がいいでしょう。
対策方法
日頃から猫ちゃんが見える場所にキャリーケースを置き、怖いものではないと知ってもらいます。また、キャリーの中におやつを入れて良い印象をつけていきましょう。
チャイム
「チャイムが鳴る=知らない人が来る」と猫ちゃんが覚えているなら、音が鳴るだけでストレスを感じているかもしれません。
対策方法
対策としては家族が帰宅する時にチャイムを鳴らして入ることです。「チャイムが鳴る=ご主人が帰ってくる」となれば不安に思うこともありません。
大きな音
車やバイク、雷などの大きい音は仕方ないですが、家の中で猫ちゃんがビックリしてしまう音はなるべく避けてあげましょう。普通の生活音だと40~50デシベルで、それ以上大きいと聴力が優れた猫ちゃんには苦痛と感じるかもしれません。
対策方法
大きな音が鳴るものは極力買わないようにする。雷や乗り物の音に恐怖を感じている時は、大丈夫だよと声をかけながらナデナデしてあげると安心する猫もいます。
抱っこ
体を拘束されることが嫌いな猫の場合、無理に抱っこするのはストレスとなります。
対策方法
猫ちゃんから近づいてくるのを気長に待つしかありません。
留守番
ご主人がいない寂しさ・不安からストレスを感じる猫もいるそうです。また、外出中に入れない部屋があると自由度が下がり、不満に思っているかもしれません。
対策方法
飼い主がいない時だけ遊べるおもちゃを用意してあげるといいでしょう。行き来できる部屋も普段と変わらない方が猫ちゃんも安心です。
ブラッシング
ブラッシング(ブラシの感触)が嫌でストレスを感じることもあるようです。
対策方法
力加減を弱くする、ブラッシングの時間を減らす、ブラシの形状も好き嫌いがあるので色々試してみるのがおすすめです。
赤ちゃんの存在
人間の赤ちゃんは奇声を上げたり予測不可能な行動をしたりするため、それが猫ちゃんのストレスに繋がることもあります。
対策方法
赤ちゃんに対して猫がストレスを感じているようなら、できるだけ離して暮らした方がいいでしょう。
ストレスを与えると猫はどうなる?
ストレスが長引くと免疫力を下げるホルモン(コンチゾール)が分泌され病気のリスクが増えたり、消化器の動きが低下してお腹の調子を崩すことがあります。
主な病気はこちら↓
皮膚炎・・・気を紛らわそうと体を舐め続けた結果、部分的な脱毛や炎症などの皮膚炎になる可能性があります。お腹を舐めることが多いため、気にしてみてあげるといいでしょう。
胃腸炎・・・ストレスにより低下した消化器官のせいで、胃腸炎による下痢や嘔吐を繰り返すことがあります。下痢が続くと脱水症状になることもあるため、酷い場合は獣医さんに相談してください。
膀胱炎・・・ストレスが一因とされている「突発性膀胱炎」は、尿が出にくくなり血尿などの症状が現れます。膀胱炎にかかると尿石症を引き起こすかもしれません。
猫風邪・・・ストレスが原因で免疫力が下がり、猫風邪再発のきっかけになることもあります。
また、ストレスによる攻撃行動の増加(噛む・引っ掻くなど)、食欲不振、排泄回数の減少、布団で粗相することもあります。
猫のストレス対策と解消法
毎日お家の中で過ごしているだけじゃ猫ちゃんも退屈です。ちょっとした工夫や遊びで良い刺激を与え、ストレスを発散させてあげましょう。
おもちゃで遊んであげる
狩猟本能を刺激してストレスを発散させてあげましょう。色々な種類のオモチャがありますが、猫ちゃんによって好みが違うためいくつか用意してあげるのがおすすめです。
おもちゃで遊ばせる時は一定の動きを繰り返すのではなく、隠したり止めたり捕まえさせるなどバリエーション豊かだと猫ちゃんも楽しめます。物陰から獲物を狩る雰囲気をだすため、シャカシャカトンネルなどあると興奮具合も違いますよ!
本能むき出しで遊びだす!Amazonの猫じゃらしセットの食いつきが凄い。フードの与え方を工夫する
獲物を捕まえる気分を味わってもらうため、フードの与え方を工夫するのもおすすめです。ペットボトルに穴を開け転がすとフードが少しづつ出てくるアイテムを作ったり、あちこちに置いて探して食べさせるなどしてみましょう。
上下運動ができる高い場所を作る
猫は高い所が大好きで、部屋全体を見渡せる場所を作ると安心する生き物です。上り下りできれば良い運動にもなるので、高さがあるキャットタワーがあるといいでしょう。
ただし、高い所から飛び降りると関節に負担がかかり将来歩けなくなる可能性があります。降りるルートもあるキャットタワーを選んでください。
おすすめはモロの突っ張りキャットタワー↓
外が見られる場所を作る
人や動物などの動きを見たり日差しの変化が確認できると、猫は気分が晴れてストレスが発散されるそうです。ただし、野良猫を見ると縄張りを荒らされると勘違いすることもある(ストレスになる)ため、その場合は見えないよう工夫してください。
避難場所を作ってあげる
隠れ家など静かに落ちつける場所は、雷や来客などのストレスから守るために必要です。寝床の環境も温かさの違う毛布を2つ用意してあげると、気温によって好きな場所を選べるので猫ちゃんも快適に暮らせます。
食事やトイレは安心できる場所に
無防備になりやすい食事やトイレは落ち着ける場所がベスト。人が通らない、音が気にならない方がストレスを感じにくいそうです。
愛猫の行動からストレスをチェック
愛猫のストレス具合を調べるチェックシートを作りました。(雑誌ねこのきもちvol189から引用)
次の状況(6つの質問)の時に愛猫がどんな行動をとるのかを選び、そこに書かれた点数を合計してストレスに強いか弱いかをチェックできます。
Q1:愛猫の近くで掃除機をなど大きな音がするものを使用した時の反応は?
1点 | 気にしない、何も反応しない、または掃除機などに平然と近づく |
2点 | 姿勢を整えたり立ち上がったりする。掃除機などの音のする方向を目や耳で確認する |
3点 | ビクッとしたり、耳を伏せたり、姿勢を低くしたりして、いつでもその場から移動できるように身構える |
4点 | 掃除機などから遠ざかり物陰から隠れたり別の部屋に逃げたりするが、終わると平然としている |
5点 | 掃除機などから遠ざかり物陰から隠れたり別の部屋に逃げたりして、終わってもしばらくは出てこない。またはパニックになって走り回る |
Q2:来客があったときは?
1点 | 気にしない、何も反応しない、または来客に平然と近づく |
2点 | 来客を少し離れたところから見たり、来客の荷物のニオイを嗅いだりする。しばらくして大丈夫だと思うと、来客の手の届く範囲に近付くこともある |
3点 | 来客を遠くから見る。時間がたち慣れてくると、来客がいても自分の好きな場所へ行きリラックスして過ごす |
4点 | 別の部屋や高いところに逃げて近寄らないが、まれに姿を見せることもある。来客が帰ったあとは平然としている |
5点 | 別の部屋に逃げ、来客が帰ったあともしばらく出てこない。姿を見せても姿勢を低くしたまま、ビクビクしている様子が見られる |
Q3:動物病院に行くためキャリーケースに入れようとした時は?
1点 | まったく気にしない。自らキャリーケースに入る、もしくはおとなしく入れられる |
2点 | その場で耳を伏せたり姿勢を低くしたりすることはあるが、簡単にキャリーケースに入れられる |
3点 | 物陰や高いところに逃げたり、身構えたりするが、おやつを使うなど工夫すればキャリーケースに入れられる |
4点 | 気配を察知するとすぐに物陰などに隠れ、キャリーケースに入れるのにある程度苦労する。捕まえようとすると威嚇してくることもある |
5点 | 気配を察知するとすぐに物陰などに隠れ、捕まえるのがかなり困難。捕まえようとすると暴れたり攻撃してきたりすることもある |
Q4:雷、花火、工事などの大きな音が聞こえたときは?
1点 | 気にしない、とくに何も反応しない、興味津々で外を見に行く |
2点 | 姿勢を整えたり立ち上がったり、耳を澄ませたりして様子をうかがう。しかし、リラックスして過ごし、ゴハンを食べたり遊んだりできる |
3点 | ビクッと反応し、耳を伏せたり、姿勢をやや低くしてウロウロしたりすることも。リラックスせず、つねに意識を集中している |
4点 | 音が聞こえる間は常に耳を伏せ、姿勢を低くして落ち着かない様子でウロウロと歩き回ったり物陰に隠れたりする。音が聞こえなくなると平然としている |
5点 | 物陰に隠れ、音が聞こえなくなってもしばらくの間は出てこない。または、パニックになって走り回る、粗相をする |
Q5:愛猫の近くで物を落としたり飼い主が急に大きなくしゃみをした時は?
1点 | 気にしない。反応しても音のする方向へ耳を動かす程度。寝ていた場合は目を開け、場合によっては確認のため近付いていく |
2点 | 姿勢を整えたり立ち上がったりする。離れたところから音のする方向を目や耳で確認する |
3点 | ビクッと反応し、耳を伏せたり、姿勢をやや低くして身構えたりするが、その後はすぐに平然としている |
4点 | 毛を逆立てたり尻尾を膨らませたりして身構える。もしくはその場から離れて一度は隠れるが、短時間で出てくる |
5点 | 飛び上がって驚く・毛を逆立てたりしっぽを膨らませたりしてその場から離れて隠れ、しばらく出てこない |
Q6:家の中に見慣れない物(家具・家電・猫用品など)を置いたときは?
1点 | 気にしない。もしくは目や耳で情報収集。興味をもった場合は大胆に近づき、ニオイを嗅いだり触ったり上にのったりする |
2点 | 様子を見ながら、少しづつ近付く。危険がないとわかると、警戒することなくニオイを嗅いだり触ったり上にのったりする |
3点 | 最初は少し離れ、安心できる場所から様子をうかがう。時間がたつと少しづつ近付き、低姿勢でニオイを嗅いだり触ったりと、慎重に確認する |
4点 | 離れて様子を見る。対象物を避けて通る。姿勢を低くして、音などにも敏感に反応する。数日たつと、少しずつ慣れて近づけるようになる |
5点 | 置く準備をしているうちから安全な場所に隠れる。もしくは遠く離れた場所から様子を見る。対象物には近づかず、慣れるまで1週間以上かかる |
6つの質問の合計点が18点未満なら「ストレスに強めの猫」、19点以上なら「ストレスに弱めの猫」となるそうです。ちなみに我が家の猫は17点でした。
猫の性格(ストレスの感じやすさ)はどうやって決まる?
ストレスの感じやすさは、生まれ持った性格や子猫時代の経験、母猫と過ごした期間で決まるそうです。
- 生まれ持った性質・・・主に父親の性格から受け継ぐことが多い
- 子猫時代の経験・・・社会化期(生後2~9週齢)に触れたものには恐怖を感じにくい
- 母猫と過ごした期間・・・母猫の行動を見て身の回りの安全性を学ぶため、早い段階で離れるとストレスを受けやすい性格になる
もし子猫を拾うことがあったら、いろいろな物に触れさせて怖いものでないと学ばせるとストレスに強い猫になるかもしれません。
最後に
人間には何てことないことでも猫にとってはストレスを感じやすかったりするため、日々の行動をしっかり観察することが大切です。
継続的にストレスがかかると病気のリスクは上がりますし、寿命にも大きく関係してくるかもしれません。
というのも長寿猫達が食べている食事について調べた際、食事の共通点はなかったもののほとんどの飼い主さんがストレスを与えない生活を心がけていました。
ストレスと寿命の因果関係は分かっていませんが、猫ちゃんにストレスを与えない生活は長生きの秘訣になるのかもしれません。
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