猫を飼っていて悩ましいのがトイレ以外での粗相(おもらし)。布団にオシッコされると「あぁぁぁぁっ…」って叫びたくなりますよね。
粗相の原因は様々ですが、その中でもすぐに解決できるのがトイレの見直しです。猫はトイレにこだわりを持つ子が多く、トイレ環境が嫌で粗相をしている可能性があります。
他には病気の可能性、ストレス、高齢などが関係しているため、その辺の原因も説明しながら粗相の治し方をまとめてみました。
猫が布団などで粗相する原因とは?
主な原因はこの3つ↓
- トイレが気に入らない
- 何かしらの病気
- ストレス
特にトイレ環境を変えるのが有効なので詳しく説明いたします。
トイレが気に入らず粗相する猫が多い
ペットとして飼われている猫の約10%に排泄問題行動があり(Litter Box Problems)、その解決方法として有効なのがトイレ環境の見直しと言われています。
- なかなかトイレに入ろうとしない
- 排泄ポーズを決めるまでに時間がかかる
- 排泄中トイレの縁に足をかけたりする
- 排尿回数が少なく時間が長い
- 排泄後に戻ってきて排泄物の匂いを嗅ぐ
- 排泄後にトイレの壁をシャカシャカこする
- 何度もトイレに出入りする
- トイレ開始から終了までの時間が長い
参考:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S016815911730151X
上記の問題行動がある場合、トイレ環境を見直すことで粗相が治るかもしれません。
では、どのようにすればいいかと言うと
- 鉱物系の砂トイレに変更する
- トイレ本体はやや大きめにする
- フードカバーを外す
- 掃除をこまめにする
- トイレ本体を「猫の数+1個以上」置く
- 砂の深さを5~7cmにする
- 安心できる場所にトイレを置く
では、詳しく説明していきます。
猫は鉱物系の砂トイレが大好き
鉱物、木、紙、おから、シリカゲルなど色々な砂がある中、猫は鉱物系の砂トイレを好んで使います。
猫砂の種類 | オシッコの回数 | ウンチの回数 |
鉱物系 | 12回 | 9回 |
木系 | 4回 | 3回 |
おから | 3回 | 0回 |
木系 (システム用) |
2回 | 0回 |
紙系 | 1回 | 0回 |
※2021年に成猫10頭で22時~翌日15時まで調査したオシッコとウンチの回数
圧倒的に鉱物系の利用率が高いですね。
では、なぜ鉱物系の砂が好きなのか?その理由が
- 手触りが硬い
- 粒が小さくて重い
- 無臭である
- 脱臭力がある
これらの特徴の砂を猫が好むことを酪農学園大学獣医学部が1年かけて検証し論文を発表しました。(論文はこちら)
8頭の猫(雄2、雌6)を1年間ケージ飼育しながら、固まる砂(鉱物)、固まらない砂、ヒノキの砂、ペーパーサンド、シリカゲルの使用頻度を比較したところ1番好まれたのが固まる砂(鉱物)で、使用頻度が少なかったのがヒノキの砂とペーパーサンドと記されています。
ちなみに砂の固まりやすさについては使用頻度に影響ないそうです。
野生界の猫は土に排泄物を埋めて臭いを隠していました。その習性が今でもあり、土に一番近い鉱物系の砂が好まれるのだそうです。
利便性からシステムトイレを選ぶ人も多いですが、我が家の猫、知り合い、SNSの声を聞く限りシステムトイレが嫌いな猫は多いです。システムトイレと鉱物系の猫砂トイレを同じ場所において比較すると、おそらく圧倒的に鉱物系を好むと思うので良かったら試してみてください。
猫トイレはどっちがいい?砂よりシート(システムトイレ)の方がデメリット多め!トイレ本体はやや大きめがいい
複数の研究よると、猫は広くて大きいトイレを好む傾向があることが分かっています。
74匹の飼い猫に「通常サイズのトイレ」と「86×86cmの大きいトイレ」を4週間使用してもらい排泄回数を調査した。通常サイズの方が3239回、大きいトイレ(86×86cm)は5031回と1.5倍の差が付いた。
上記の調査から小さいトイレは粗相する可能性があるため、少し大きめのトイレ(猫の体調の1.5倍以上)に変更した方がいいでしょう。
ちなみに我が家でも大小のトイレを使って実験したら、大きいトイレを好んで使っていました。(約3倍利用された)
【論文あり】猫トイレの大きさ目安は?ズバリ体長の1.5倍以上がいい!フードカバーは好みが分かれる
猫トイレにフードカバーが必要なのかを検証した論文が2つあるのですが、それぞれ真逆の結果となっています。
1つ目が酪農学園大学が行った検証で、猫砂別にフードカバー有り無しを調査した結果がこちら↓
酪農学園大学獣医学部による検証 | ||
フードカバー あり |
フードカバー なし |
|
固まる砂 | 24.6% | 75.4% |
固まらない砂 | 30.8% | 69.2% |
ヒノキの砂 | 25.4% | 74.6% |
ペーパーサンド | 22.9% | 77.1% |
シリカゲル | 30.4% | 69.6% |
この検証ではフードカバーなしが好まれるという結果になりました。
カバーがあると「排泄がしにくい、砂が掻きづらい、臭いがこもる」などが原因で嫌がるのではないかとのことです。
一方、フランスにあるクレマンソー動物病院のチームが行った検証では、フードカバー有の方が好んで使うと発表されています。
フードカバーのあるトイレとオープンなトイレを置き、28日間にわたって13匹の猫の糞便回数をカウントした結果がこちら↓
フランスの動物病院による実験 | |
フードカバー あり |
フードカバー なし |
平均19.9回 | 平均11.9回 |
フードカバー有の方が使用率が高いという結果になりました。
カバーの有無は猫によって好みがあるので、一度検証した方がいいかもしれません。我が家ではカバー付きを好んで使います。検証した内容がこちら↓
【驚きの結果】猫のトイレにフードカバーは必要なのか検証してみた!掃除はこまめにした方がいい
猫はキレイ好きなので、トイレが汚いと排泄を我慢して粗相することがあります。トイレ内が臭くても排泄を嫌がるため、砂のニオイチェックは頻繁に行いましょう。(臭かったら早めに交換を!)
鉱物系の砂を使う場合、できれば消臭力が高いものを選びましょう。猫砂で1番人気があるライオンの「ニオイをとる砂」はコスパはいいですが、1ヵ月もすると臭気がすごいです。
一方、エバークリーンという猫砂は品質が高いため1ヵ月経っても全然臭いません。お値段はやや高いですが、粗相を治すなら一度使ってみることをおすすめします。
【猫砂】セリームバイオサンドvsエバークリーンどっちがいい? 人気の猫砂5つを比較してみた!私がおすすめするNo1はコレトイレの数は「猫の数+1個以上」が理想
できるだけクリーンな環境で排泄したがる猫ちゃんのためにトイレの数は多い方がいいです。
できれば猫の数+1個以上を目指して設置してみてください。
注意点・・・鉱物系の砂は粉塵が出やすいため、こまめな換気をしてください。たくさんの粉塵を吸い込むと健康を害する可能性があります。
鉱物系の猫砂は危険?粉塵(ベントナイト)による健康被害を調べてみた。砂の深さは5~7cmが目安
砂が少ないと排泄物を隠せずストレスが溜まると言われているため、5~7cmくらいの深さにした方がいいようです。(理由は分かりませんが砂の入れすぎもダメとのこと)
安心できる場所にトイレを置く
猫ちゃんがリラックスできる場所にトイレを置くことも大切です。食事、排泄、睡眠、遊びの場所は避け、安心できる場所にトイレを置いてください。
あとは、同居猫が居座る場所も避けましょう。とにかく落ち着いて排泄できる場所に設置するのがポイントです。
ストレスが粗相の原因かも
猫は比較的ストレスに弱い動物と言われるため、今の環境を見直しストレスを取り除けば粗相が治るかもしれません。
基本はトイレ環境の見直しですが、おもちゃで遊んだり、外が見える高い場所を作ったり、上下運動できるキャットタワーを置いたりしてストレスを発散させてあげましょう。
また、急に粗相するようになった場合だと最近の環境変化が原因かもしれません。
例えば新しい猫を迎え入れた、引っ越した、来客があったなど、猫ちゃんがストレスを感じそうな要因を探してみてください。
ストレスの原因や発散方法については、こちらの記事で詳しく説明しています↓
猫にとってストレスになる事とは?気づきにくいサインや解消法など紹介!何かしらの病気が粗相に関係しているかも
例えば泌尿器に問題があるとオシッコを我慢できずに漏らしてしまう「尿失禁」という病気かもしれません。(ただし子猫の場合は、神経や筋肉の発達が未熟で漏らすことがあります)
あとは尻尾への外傷が原因で自力でオシッコやウンチができない症状が現れたり、分離不安徴候という飼い主に依存した猫ちゃんが寂しさから布団で粗相することもあります。
トイレ環境が悪くなくストレス要因も見つからないなら、早めに獣医さんに相談してみてください。
高齢による粗相
高齢になり足腰が弱るとトイレに行くのが億劫になり粗相したり、たどり着く前に我慢できず漏らしてしまうことがあります。
トイレはアクセスしやすい場所に移したり、上り下りが必要ないフラットな形状のトイレを選ぶと粗相が減るかもしれません。
粗相の治し方をまとめると
猫ちゃんの粗相を治すには、まずトイレの環境から見直してください。あとはストレスをかけていないか確認し、それでも粗相が治らないなら早めに獣医さんに相談しましょう。もしかしたら何かしらの病気かもしれません。
ちなみに友人の猫はシステムトイレから猫砂トイレに変えたことで粗相がピタリとなくなりました。なので、まずはトイレ環境をいち早く変えることをおすすめします。
おすすめの猫砂とトイレはこちら↓
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