猫に手作りご飯を食べさせたいけど
- 栄養失調にならないか心配
- 病気にならないか不安
- 栄養バランスを考えて作るのは大変そう
なんて悩んでいる人も多いと思います。
私もそんなふうに思っていたのですが、手作りご飯を与えている友人の話を聞くと「全然大丈夫なんだ!」という考えに変わりました。
ここでは長年手作りご飯だけ食べさせている友人の話やレシピ、メリットやデメリットなど詳しくまとめています。
ハードルが高そうという固定概念がガラリと変わるかもしれないので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事では須崎動物病院の院長さんが書いた本「愛猫のための症状・目的別 栄養辞典」も参考にしています。手作り食に関して知りたい情報が全て書いてあるおすすめの1冊です。
目次
猫のご飯は手作りだけでも大丈夫?
手作りご飯を食べさせている友人やネットのブログ、手作りをおすすめする獣医さんの本を見る限り、手作りご飯だからと言って過剰に心配することはないのかなと思います。
栄養面について気になると思いますが、猫には足りない栄養を体の中で作り出す調整機能がありますし、病気のリスクもキャットフードを食べている猫と変わらないのかなという印象です。(むしろ病気になりにくいのかもと思いました)
栄養失調になったりしない?
手作りご飯だからといって猫が栄養失調になる心配は無用です。
偏った食事はダメですが、私たち人間と同じようにバランスよく食べていれば栄養面について心配する必要はないとの事。
と言うのも、猫の体には調整機能が備わっており、足りない栄養は体が勝手に作り出してくれるようになっています。(これは人間も同じ)
いつ食事にありつけるか分からなかった野生時代、すべての栄養を偏りなく摂るのは不可能です。生き抜くために足りない栄養は体の中で変換する仕組みとなっているため、厳密な栄養計算は不要なのだとか。
そんなんで大丈夫?と思うかもしれませんが、あなたは栄養バランスを完ぺきに計算してご飯を食べていますか?
そんな質問を投げかけられて「なるほど」と頷いてしまいました。私たち人間の体の中にも調整機能があって、足りない栄養は体が勝手に作り出してくれています。
もちろん全ての栄養が作れるわけではなく食事から摂る必須栄養素もありますが、バランスよく食べていれば人も猫も栄養不足に陥ることはないそうです。
腎不全の猫も元気に生きた!
友人は腎不全ステージ3の猫を飼っていました。
拾った時から腎臓と心臓が悪かったのですが、特に症状が悪化することもなく6年間元気に過ごしていました。
毛艶はキレイだったし走り回ったりジャンプしたり「本当に病気?」と思うほどピンピンしていたのは、もしかしたら手作りご飯のおかげかもしれません。
と言うのも腎不全の猫は水分補給がとても重要で、脱水を防ぐために沢山のお水を飲まなければなりません。
しかし猫は水を飲むのが得意じゃなく、補う水分が足りないと腎臓がどんどん悪くなってしまいます。
手作り食なら水分を多めに摂れるため、友人が作るご飯はスープ状の物ばかりでした。あとは、猫ちゃん自身も沢山お水を飲んでいたので、腎不全のステージ3でも長く生きたのだと思います。
手作りご飯の方が長生きする?
これについては分からないです。
個人的には手作り食の方が長生きするのではないかと思っていますが、キャットフードより寿命が長くなるなどのデータは今のところありません。
ちなみに、安いキャットフードでも長生きする猫ちゃんは沢山います。
SNSで16歳以上の猫を飼っていた(飼っている人)に何を食べさせていたかアンケートを取ったところ、8割以上の人がスーパーやドラッグストアで買える低価格帯のフードを食べさせていました。
【安いキャトフードでも長生きできる】選ばれているフードはこれ!ネットで調べた長寿猫達の食事を調べても「こんな物食べていたの?」という猫ちゃんもいたので、食事より元々の体の強さの方が大きく影響しているのかもしれません。
とは言っても、キャットフードならロイヤルカナンかヒルズが良いと思います。理由は療法食で長生きすることが証明されているからです。
腎不全の猫が一般的なフードを食べるより、ロイカナやヒルズの療法食を食べた方が2倍以上長く生きることが証明されています。
科学的根拠を元にフード開発しているメーカーなので、安いキャットフードよりも良いのかなと思います。
手作りご飯で病気の予防はできるのか?
これについても病気の予防ができるというデータがないため分かりません。
ただ、須崎動物病院の院長さんが書いた本「愛猫のための症状・目的別 栄養辞典」に、病気を克服した(症状が改善された)と言う飼い主さん達のコメントがあったので参考に載せておきます↓
- ストラバイト尿石症が発症しなくなった
- 毛並みがキレイになった
- あごニキビがなくなった
- 繰り返していた膀胱炎が改善された
- 慢性腎不全の症状が落ち着いた
- 心臓病の症状がなくなった
- 心臓肥大だけど薬がいらなくなった
- 肝臓の数値が良くなった
- お腹の調子が良くなった
特に多かったのでストラバイトが改善されたと言う声でした。手作りご飯は水分たっぷりなので、尿路系の病気になりにくい(改善されやすい)みたいですね。
※手作り食にしたからと言って必ずしも病気が改善されるかは分かりません。
手作りご飯にして良かった事や大変なところ
手作りご飯に移行した友人に良かった点や大変なところを聞いてみました。
- 下痢しなくなった
- 目ヤニがでない
- ウンチが臭くない
- 病気などなく元気
キャットフードを食べさせていた頃はウンチが緩かったりニオイも臭い、目ヤニもちょくちょく出ていたけど手作りご飯にしてから一切なくなったそうです。
最近、AIM30(猫のAIMを活性化させて腎不全の予防を目的としたキャットフード)を食べさせていたら、また同じような症状になったので、改めて手作りの良さを感じたと言っていました。
今は7年間手作りご飯を食べている猫が最長で、特に病気になることもなく元気に過ごしているそうです。
- 作るのが面倒くさい
- 食材が高いと経済的につらい
- 人間のものを欲しがるようになる
やはりキャットフードに比べると手作りする手間が面倒くさいと言ってました。4匹の猫を飼っているので、大鍋で作っても3~4日しか持たないそうです。
あと、野菜が高い時など家計が辛いと感じたり、友人が食べているご飯を常に狙ってくるのが面倒くさいと言ってました。
ただ、手作りご飯の方が猫の体調が良いため、今後も続けていくそうです。
手作りご飯を作る時の栄養バランスについて
厳密な計算は必要なく、肉や魚が7割、野菜2割、穀物1割で作れば大丈夫だそうです。(ただし同じ食材ばかり使わない事)
「ビタミンAとかナトリウムとかそういう値が知りたいんだけど…」と思うかもしれませんが、そこまで厳密に計算しなくても足りない栄養は体の中で勝手に作り出す調整機能があるので心配いりません。
それでも厳密に計算したい人はAAFCOのキャットフードにおける養分基準を参考にしてみてください。ただ、これ通りに作るのは大変ですよ。
私が知る限りだとほとんどの人は計算していません。手作り歴7年の友人も1度も計算したことないと言っていました。(適当に作ったご飯でも猫ちゃんは元気に暮らしています)
偏った食事(例えば魚だけとか)は何かしらの病気になる可能性はありますが、色々な物を食べていれば特に心配いらないそうです。
猫は肉食動物のため、動物性食材(肉や魚)を丸ごとたべることを前提に体ができています。なので肉や魚の割合を多くし、残りを野菜や穀物にしてあげれば大丈夫だそうです。肉が5~8割、残りを野菜と穀物で等分などの感覚でOK!
穀物は食べてもいいの?
全然問題ないです。
穀物はアレルギーが心配と聞いたことあるかもしれませんが、猫のアレルギーで1番多い食材は牛肉です(2位は魚)。
穀物が消化しにくいという噂も私たち人間が食べるように調理して(お米なら炊いて)あげれば問題ありません。ただ、穀物がメインとならないことだけ覚えておいてください。
健康な猫ちゃんは肉や魚がメインとなりますが、腎不全を患っている猫だとお米(穀物)がメインにくる療法食が多くなっています。理由は消化性に優れた高品質なタンパク質でリンの含有量が少ないから。詳しくはロイヤルカナンの犬猫の栄養成分辞典「穀物(グレイン)は必要?」をご覧ください。
おすすめ簡単レシピ
友人が作っているレシピを1つ聞いてきました。というか調理法はこれ一択で、毎回食材を変えて作るだけだそうです。
すごく簡単なので参考にどうぞ。
- 鶏胸肉:2kg
- キャベツ:葉っぱ3枚
- 人参:1/2本
- じゃがいも:1個
- しめじ:1パック
※猫4匹で3~4日分くらいの量です。
- 全ての材料を猫が食べやすい大きさに切る
- 圧力釜に切った材料+水をヒタヒタに入れる
- 火にかけて柔らかくなったら完成
※調味料は不要です。
- 様々な食材を使い肉や魚は5割を超えるように考えている
- 肉か魚を1種類、野菜が3種類、キノコ系を1種類で作るようにしている
- 野菜は色が被らないようにする(人参は赤、じゃがいもは黄、キャベツは緑など)
- 水を具材ヒタヒタまで入れて水分をたくさん摂れるようにしている
- 硬い骨は入れない(小魚などは圧力釜でトロトロになれば気にせず入れる)
- 肉が少ない時はタンパク質として卵を最後に追加する
- 穀物は入れたり入れなかったりとバラバラ。基本はお米で対応している
- 基本的に人が加熱して食べるものは加熱する
あとは刺身や加熱したレバーなど与えたり、色々な食材を食べさせることを心がけているそうです。
厳密な計算は一切しないし、これを7年間続けて猫の体調が悪くなったことはないと言っていました。(腎不全ステージ3だった猫も6年間元気でした)
使用している食材
友人が使っている食材がこちら↓
肉や魚 | 牛・豚・鳥・鹿・カンガルー・羊・アジ・マグロ・カツオ・鮭・イワシ・サンマ・ニボシ・タイ・タラ・しらす干し・レバー類etc |
野菜 | トマト・キャベツ・れんこん・じゃがいも白菜・きゅうり・・人参・ズッキーニ・水菜・小松菜・チンゲン菜・ほうれん草・ナス・さつまいも・かぼちゃ・ごぼう・ブロッコリー・オクラ・カブetc |
キノコ類 | シイタケ・マイタケ・エノキ・しめじetc |
その他 | お米・パスタ・卵etc |
主にスーパーで安売りしている物をメインに買うそうです。あとは、旬の野菜や魚なども積極的に入れると言っていました。
魚の骨で硬い物や大きい物は取り除いてください。鶏肉についても骨は喉に突き刺さる可能性があり危険です。
猫が食べられない食材はネギ系(玉ねぎ・ニラ・ねぎetc)やニンニクなどになります。あとはブドウや干しブドウ・香辛料もよくないそうです。卵については過熱すれば大丈夫との事。
ネットでは食べられない食材を過剰に載せていたりしますが、食べ過ぎると危ないだけというのも結構あります。例えば「ほうれん草」はシュウ酸が多く結石の原因になると言われていますが、たくさん食べなければ問題ないそうです。
「愛猫のための症状・目的別 栄養辞典」の本によると話が過剰になって”食べられない”と認識されてしまったケースが多いと書いてありました。
食べさせる量の目安
- 1日2食(朝晩)
- 1食は大体猫の頭の大きさくらい(約お玉1杯強)
友人宅では大体これくらいの量を目安に食べさせており、厳密なカロリー計算はしていません。太ってきたなと思えば減らすし、その逆もあると言っていました。
カロリー摂取量の目安を知りたい人はこちらを参考にしてください↓
猫の1日のカロリー摂取量(1kgあたり) | |
成猫維持期(正常) | 70~90kcal |
成猫維持期(不活発) | 50~70kcal |
妊娠期 | 100~140kcal |
授乳期 | 240kcal |
成長期(生後10週) | 220kcal |
成長期(生後20週) | 160kcal |
成長期(生後30週) | 120kcal |
成長期(生後40週) | 100kcal |
例:体重4kgの正常な成猫の場合、4kg×70~90kcal=280~360kcalが1日の摂取カロリー目安となります。
猫に食べてもらう工夫について
まずは少量から始め好みを探ること!これが手作りご飯を食べてもらう大事なポイントだそうです。
というのも、猫は警戒心が強く慎重な生き物なため、生後半年までに食べていない食材をご飯と認識してくれません。
意気込んで作っても食べてくれないなんて事はよくあるため、まずは少量&好みを探ることから始めると失敗しにくくなります。(今食べているキャットフードに少量プラスするような感覚でOK)
ちなみに友人も初めは苦労していました。ご飯と認識してくれず中々食べてくれなかったのですが、途中からそれ以外食べ物を与えなかったので渋々口にしていたそうです。
あとは、猫の目の前で飼い主が食べると「それ食べられるんだ!」と認識したりする子もいます。
どんな猫ちゃんも大好きなちゅーるを混ぜたり、好物(例えばマグロ)にちょっとの野菜を入れてみたり、煮る焼く茹でるなど調理法によっても食べたり食べなかったりするため、色々試してみることをおすすめします。
食べ物の質が変わると腸内環境も変化しお腹の調子を崩したり嘔吐すこともありますが、元気なら問題ないそうです。
メリットとデメリットについて
猫に手作りご飯を食べさせるメリットは何といっても水分補給が簡単にできる点です。
尿路系の病気や腎不全など、お水をあまり飲まない猫ちゃんが患いやすい病気の予防になりますし、新鮮な材料を使うので安心感もあります。
デメリットは「作る手間、最初食べてくれない可能性、コスパがやや高い」など。コスパは使う食材によって変わりますが、紹介したレシピだと1日100円(1匹)くらいです。
※プレミアムフードと言われるロイヤルカナンだと1日80円前後、スーパーで買える低価格のキャットフードなら1日30円以下に抑えられるため、手作りご飯のコスパはやや悪め。
とは言っても手作りご飯にしてから体調がよくなったと言う声も多いので、チャレンジしてみる価値はあると思います。
ちなみに私は何度か挑戦して挫折しています。なかなか食べてくれないのが結構つらいですね…。
まとめ
ハードルが高そうと思われる猫の手作りご飯ですが、食べてくれさせすればそんなに難しいものではありません。
栄養バランスは厳密に計算する必要がなく、動物性食材(肉や魚)多めで残りを野菜と穀物にしてあげれば問題ないし、調理法も鍋に入れて煮るだけと簡単に済ますことができます。
最初食べてくれないというハードルは付いてくるかもしれませんが、焦らずちょっとづつ気長に移行するつもりで取り組んでみてください。
手作り猫ご飯の専門書と言ってもいい須崎動物病院の院長さんが書いた「愛猫のための症状・目的別 栄養辞典」はおすすめです。知りたい情報が全て書いてあるし、レシピや飼い主さんの声も満載な1冊です。