2022年3月1日に発売されたマルカンのキャットフード「AIM30」
”AIM30を食べさせることで腎不全が治る”と勘違いしている人もいますが、そのような効果はありません。
AIM30は腎臓の健康維持フードであり、あくまでAIMが活性化する(=腎不全の進行を遅らせる)ことができるかも?という健康な猫ちゃん用の一般食です。
療法食ではないので腎不全を患っている猫ちゃんに食べさせるのはリスキーであり、多くの獣医さんからは「腎不全の猫に食べさせないでください」と注意喚起しています。
ザックリまとめるとこんな感じですが、ここからはもう少し詳しくAIMやAIM30について説明していきます。
- AIMとは何なのか?
- AIMとAIM30の違いは?
- どういった成分なのか?
- 副作用はないのか?
- 健康な猫に食べさせるべきか?
- 腎不全の猫が食べるとどうなるのか?
※説明する内容は宮崎教授が出版した「猫が30歳まで生きる日」を参考にしています。
AIM30について獣医さんの意見も聞いてきたので合わせてご紹介いたします。
マルカンのAIM30はどこで買える?値段・販売店・通販ショップを紹介目次
AIM30を食べると、どんな効果がある?
- マルカンのAIM30を食べると体内のAIMが活性化される
- AIMが活性化すると血液の中のゴミを掃除してくれる
- ゴミ掃除がうまくいけば腎臓が悪くなりにくくなる
- 結果「腎不全」の発症を抑える=寿命が伸びる
※あくまで上記の可能性があるかもしれないだけです。
AIMとは何なのか?
AIMとは猫の血液中にあるタンパク質のことで、このAIMがうまく働くことで血液の中にあるゴミを掃除してくれます。しかし、多くの猫のAIMはうまく機能していないことが最近の研究で分かりました。
※猫だけでなくチーターやライオンなど、ネコ科動物全般のAIMもうまく働いていない
「猫の体内でAIMがうまく働かない→血液の中にゴミが溜まる→腎臓が悪くなる」という流れになります。
猫の場合、10年くらいで徐々に腎臓機能が低下するらしく、最終的に腎臓が動かなくなると尿毒症(血液にゴミが溜まりすぎた状態)などで亡くなります。
AIMがうまく機能すれば腎不全の発症を遅らせることができるため、マルカンの「AIM30」はAIMを活性化させる成分が含まれています。
実際のAIMの働きはもう少し複雑ですが、ここでは簡単に説明しています。詳しくは「猫が30歳まで生きる日」を読んでください。
AIMを活性化させる成分とは?副作用はないの?
AIMを活性化させる成分は、ドリアンから抽出しているγ−グルタミルシステインかと思われます。
参考:血中フリー体AIM増加用組成物
参考:宮崎徹教授インタビュー
このγ−グルタミルシステインは食品添加物として流通しており特に危険性はないとのこと。
AIM30の原材料には、アミノ酸類の中にある「シスチン」がγ−グルタミルシステインに当たるようで、ピュリナワンの一部フードにも含まれていました。
ただし、ピュリナワンのフードでAIMが活性化するかは分かりません。
AIM30を食べると腎不全にならなくなるのか?
答えはNOです。
期待通りにAIMが活性化できれば腎不全になりづらくなるとは思いますが、エビデンス(ちゃんとした根拠)がないため確かなことは分かりません。
あと、以下の疑問もあります↓
- AIMを活性化させる成分がどれくらい含まれているか分からない
- 個体差によって元々あるAIMの量が違うらしい
- 何匹の猫で検証してどれくらいの効果があったのか分からない
宮崎教授が出版した本によると、”活性化される成分の量は嗜好性や安全性に影響が出ない程度にする予定”と書いてあります。活性化させる成分が少なければ効果もあまり期待できないでしょう。
あと、個体差によるAIM量の違いも気になります。
AIMをいくら活性化させても猫の体の中にある元々のAIM量が少なければ、ゴミ掃除できる量も少なくなります。(人やマウスより猫のAIM量は多いようですが、何匹の猫のAIM量を調査したのか不明です)
そして猫による検証はどれくらいしているのか?そこら辺も分からない為、過度な期待はしない方がいいかと思います。
腎不全の猫は食べた方がいいのか?
食べさせない方がいいかと思います。
今回発売されたAIM30は健康な猫ちゃん用の一般食(総合栄養食)になり、腎不全を患っている猫用ではありません。
腎不全を患っている猫ちゃんの食事は、低タンパク、低リン、高カロリーが基本です。腎臓病の療法食を食べることで寿命が2倍以上伸びますが、AIM30は一般食でありエビデンスもありません。
いづれAIMを活性化される成分が含まれた療法食も販売するそうなので、それまではロイヤルカナンやヒルズの療法食を食べさせた方がいいでしょう。
療法食に混ぜるのもダメ
AIMを療法食に混ぜて食べさせようと考えている人も多いみたいですが、成分のバランスを考えて作られているのでむやみに混ぜるのは危険だそうです。
どの療法食にも言えることだが、切り替え時以外に混ぜるのは得策ではない。
「半々でずっと与えてます」と言われることがたまにあるが「意味ない」とバッサリ言う。
特に尿路結石用の療法食では何かを混ぜることによりバランスが変わり、結石が形成されるケースをたくさん診ている。
療法食は完成品。— 【保護猫カフェ計画始動】菖蒲谷友彬@まるペットクリニック (@marupetclinic) March 8, 2022
AIM30とAIM製薬は何が違う?
マルカンの「AIM30」は、体内で機能していないAIMを活性化させてゴミ掃除させるのが目的。
一方「AIM製薬」は、猫の体に直接AIMを投与してゴミ掃除をさせる方法になります。(体内に元々あるAIMは活性化しない)
宮崎教授が出版した本によると、AIM30は腎不全ステージ1~2の進行が緩やかな状態の時に、ステージ3~4の症状が悪い猫にはAIM製薬が向いていると書いてありました。
理由としては、腎不全末期の状態だとすごい勢いでゴミが増えていくため沢山のAIMが必要になる。AIM製薬を注射する場合は量に上限がないから、ドカンと補充して病気の火を消すことができるとのこと。
腎臓がそこまで悪くない猫(ステージ1~2)にAIM製薬を注射しても、数ヶ月では猫の状態に大きな差が見られなかったそうですが、長期間検証すればAIMを注射した方が腎不全の進行は遅くなると思う、とも書いてあります。
AIM製薬で劇的な回復をみせた猫の話
余命1週間と言われた猫キジちゃん。腎不全のステージ4で、自分でご飯も食べられず寝たきり状態だったのが、AIMを数回投与したら劇的な回復をみせ1年以上も生きたそうです。
自分でご飯を食べたり動き回ったり、体重も増加したとのこと。
残念ながら研究所にあるAIM製薬が無くなり、投与できないでいたら亡くなってしまいました。AIM製薬があれば、もっと生きられただろうとの事です。
このお話は「猫が30歳まで生きる日」に載っています。
※AIM製薬を投与しても腎臓の機能は回復しません。あくまで血液のゴミ掃除を注射(AIM)によって行っているだけで、継続的な投与が必要となります。
AIM30の種類とそれぞれの違い
マルカンのAIM30は6種類あり、「年齢」と「去勢してる・していない」で分かれています。(子猫用はありません)
原材料は全て同じ。栄養成分とカロリーだけ若干異なります。
種類は年齢と去勢済みかで分かれている↓
年齢と去勢の有無 | 種類 |
~10歳(未去勢) | 室内成猫用 健康な尿路・毛玉ケア |
~10歳(去勢済) | 室内避妊・去勢後成猫用 健康な尿路・毛玉ケア |
11~14歳(未去勢) | 11歳以上の室内猫用 腎臓の健康ケア |
11~14歳(去勢済) | 11歳以上の室内避妊・去勢後猫用 腎臓の健康ケア |
15~19歳 | 15歳以上の室内猫用 腎臓の健康ケア |
20歳~ | 20歳を迎える室内猫用 腎臓の健康ケア |
原材料は全て同じ↓
AIM30の原材料 |
トウモロコシ、グルテンミール、チキン、ビーフ、ポーク、動物性油脂、小麦粉、フィッシュエキス、ローストアマニ、食物繊維、植物性油脂、酵母、チキンレバーパウダー、おからパウダー、まぐろ・かつお削りぶしパウダー、乳酸菌、アガリクス、クランベリー、セサミン、ミネラル類(P、Na、Cl、Ca、K、Zn、Fe、Cu、Co、Mn、I)、アミノ酸類(シスチン、メチオニン、タウリン)、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D3、E、K3、コリン、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン、葉酸)、調味料、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ハーブ抽出物) |
栄養成分とカロリーが若干違います↓
蛋白質 | 脂質 | 粗繊維 | 灰分 | Kcal | |
室内成猫 | 31.0%以上 | 10.5%以上 | 4.0%以上 | 9.0%以下 | 320kcal |
室内避妊済 | 31.0%以上 | 9.5%以上 | 310kcal | ||
11歳以上の猫用 | 30.0%以上 | 8.4%以上 | 295kcal | ||
11歳以上の避妊済 | 31.0%以上 | 8.9%以上 | 300kcal | ||
15歳以上 | 28.5%以上 | 10.0%以上 | 315kcal | ||
20歳以上 | 28.5%以上 | 10.0%以上 | 315kcal |
※マグネシウム約0.085%、リン約0.9%、カルシウム約1.0%は全て共通
AIM30を食べさせるか獣医さんに意見を聞いてきた
たまたま健康診断の結果を聞きに動物病院へ行ったので、AIM30について獣医さんと話をしてきました。
結論から言うと「獣医さん的にはおすすめしない」との事。理由はエビデンスがないから。
ただ、与えるデメリットがない(成分が猫に合っている)なら食べさせてみても悪くないかな~という反応でした。
ただ「私の口からおすすめですとは言えない」との事です。
とは言っても、愛猫のタマちゃんは12歳を越えた老猫↓
腎臓機能が悪くなってもおかしくない年頃なので、うちの猫は食べさせた方がいいのでは?と先生に相談したのですが、「タマちゃんは12歳にしては腎臓の機能がとても良い状態なので、このままの生活を続けていた方が長生きてできる可能性は高いかと思います」と言われました。
確かに、AIM30でどれだけ長生きできるか分かっていません。それなら変にフードを替えるよりも、現状のままを維持した方がいいのでは?とアドバイス頂きました。
とは言ってもせっかくAIM30を買ったので、毎日のご飯に少しづつ混ぜて消費しようかと思います。
AIM30を食べさせてみた
購入したのは「11歳以上の室内避妊・去勢後猫用 腎臓の健康ケア」
香りが結構マイルドでカツオ節のニオイがします。(キャットフード特有の臭さがない)
ちょっと匂いが薄めなので食べるかなと思いきや、ガツガツ完食してました。結構おいしいみたいです。
粒の大きさは8mm前後、やや平べったい形状です。歯がないタマちゃんでも食べやすそうでした。
口コミを見ると「食べません」という声もちょくちょく見るけど、ニオイが薄いからなのかな?
飼い主として「おぇっ」とならず良い匂いなのですが、猫には物足りないんですかね。
まとめ
- マルカンのAIM30は健康な猫ちゃん用のフード
- 腎臓が悪い猫ちゃんが食べるのはリスキー
食べさせるべきか悩んでいるなら、掛かりつけの獣医さんと相談するのがいいと思います。
そうそう、ネコ科動物全般でAIMがうまく機能していないのだけど、これについては原因が分かっていません。
私も何でだろうなと考えていたら「猫はネズミを食べてAIMを取り込んでいたのでは?」というツイートを見て、ナルホド!となりました。ネズミを食べてAIMが体に取り込めるか分かりませんが、確かにそうかもと思っちゃいますね。
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